私の大好きな着物に、
谷由起子さんがラオスの少数民族黒タイ族の方と一緒に作ったシルクの布を
仕立てたものがあります。
味があり、洒落ていて、布に優しさと強さを感じます。
袷、単と何枚か仕立て本当によく着ました。
もう作られなくなって何年か経ち
月日荘で着物地として継続的にご紹介することが叶わず、
以前よりは着用の機会は減ってしまったものの
谷さんのラオスの着物は、私が一番たくさん着ているのではと自負しております^^
原種に近い黄金の繭から手で糸を引き、
暮らしのまわりにある植物などの染料で糸を染め、
高床式の家の床下で機を織る。
胸がきゅっとなるような懐かしい
長閑なあの風景の中で
布が作られていく情景が思い出されます。
着物の世界の少し窮屈な部分に
てらいのない、おおらかさが心地よいのかもしれません。
機能面でも優れものです。
軽くて、丈夫、シワになりにくく。少しの雨なら気にしない。
世界は激しく変化して、あのころの風景とは異なってしまっているかもしれませんが
この愛しい手仕事と「自然の恵みを活かし、知力と体力を使って生きるための全てを自分で賄っていた」
ラオスの村の人々に心惹かれています。
谷さんのラオスの布は、数寄屋袋、懐紙入れ、器を包む布、花緒などでご紹介しています。